50歳からの年金定期便の年金見込額 少なくない?って思った方はみえませんか!?

 50歳からの「ねんきん定期便」には、記載される年金額が「これまでの加入実績に応じた額」から「見込額」に変わります。しかし、その「見込額」が少なくない?って思われた方はおみえになりませんか。今回はそのお話をしたいと思います。

 

50歳からは記載される年金額が変わります!

 まずはじめに、毎年ご自身の誕生月に送られてきます年金定期便の記載される年金額についてですが、50歳未満と50歳以降では内容が違うことはご存知でしょうか。

 50歳未満の方には、これまでの加入実績だけでの年金額が記載されていましたが、50歳以降になりますと、給与水準が今後横ばいで推移し、60歳まで年金に加入すると仮定して計算された年金額に変わるのです。

 この事を知らずに、「えっ、こんなに年金って少ないの?」って思われる50歳未満の方がみえますが、記載される年金額は上記のようになっていますので少ないのは当たり前ですから勘違いなさらないようにして下さい。

 

50歳以降の方でも少ないって感じる方の理由は?

 50歳未満の方の勘違いは上記の内容の違いがおもな原因でした。しかし、50歳以降の方で上記の内容をご存知の方でも「見込額」が少なくないって思われた方が結構おみえになるのではないでしょうか?

 実は、その感覚は間違っていないのです。何故なら、年金定期便の「見込額」には反映されていない内容がいくつかあるからです。

 自分の親が実際にもらっている年金額と比べたりしてショックを受けた方は、親御さんの年金額の金額だけをみていませんか?

 その比較の仕方では、勘違いしてしまうのは当たり前なのです。以下からそのカラクリをお話しましょう。

 

「見込額」には反映されていない内容とは?

 上記で「見込額」には反映されていない内容があることをお伝えしました。では、何が反映されていないかといいますと、下記になります。

 ① 加給年金
 ② 振替加算
 ③ 厚生年金基金の代行部分

 ① 加給年金とは、老齢厚生年金に紐づく家族手当のようなもののこと。受け取れる条件は、65歳時に次の3つの条件すべてに当てはまることです。

  〇 世帯主が厚生年金に20年以上加入
  〇 生活を維持する配偶者(配偶者の前年の年収850万円未満)、または子どもがいる
  〇 受給時、配偶者が65歳未満、厚生年金加入期間が20年未満

 ポイントは配偶者が年下であることで、配偶者が65歳になるまで年間約39万円受け取れます。

 

 ② 振替加算とは、上記の世帯主に支給されていた加給年金が打ち切られたあとの配偶者の老齢基礎年金に加算されるもののこと。世帯主に支給されていた加給年金は、配偶者が65歳になると支給が打ち切られます。その代わりに、配偶者が老齢基礎年金を受け取り始めると配偶者に振替加算が付くことになるのです。

   配偶者が年上の場合は、世帯主が65歳になった時からいきなり振替加算を受け取ることができます。

   ※ なお、配偶者の生年月日が1966年4月2日以降の場合は振替加算を受け取ることはできません。
    振替加算の金額は生年月日により違います。

 

 ③ 厚生年金基金の代行部分とは、厚生年金基金制度のある(あった)企業では、国が行う老齢厚生年金の一部の支給を厚生年金基金や企業年金連合会が代行し、これにプラスアルファ部分を上乗せして年金給付を行う仕組みを取っています。(下図参照)

  図のオレンジ色の部分は、基金等からの支給ですので、「見込額」には反映されていないのです。

  ※ 過去に厚生年金基金に加入されたことがある方は、ねんきんネットで概算額は把握できます。

 

 以上のように、この3つの内容が反映されていませんので、親御さんの年金額と比較したら少ないと感じる方がおみえになる主な理由です。

 

60歳以降の厚生年金加入期間分もあることに注意!!

 あと、ご注意いただきたいのが60歳以降の厚生年金加入期間分があることです。上記でお話したように「見込額」は、あくまでも60歳まで年金に加入すると仮定して計算された年金額です。

 これからの時代(すでにそうなっていますが)、60歳で完全リタイアする方はそんなに多くはないでしょう。そもそも繰上受給をしなければ老齢年金は65歳からしか受給できない方ばかりですから、5年間も資産を食いつぶせる方はなかなかいないのではないでしょうか。

 そうであるなら、給料は下がっても働いて厚生年金に加入しつづけるでしょう。その分も「見込額」には反映されていませんので、まだ増える額があることは覚えておいてください。仮に、年収400万円で65歳まで働いたとすれば、概算で年金額は約11万円弱増える計算になります。

 

 最後になりますが、年金だけで老後費用が賄える方は正直少数派です。どうしても自助努力で準備しなければいけない方がほとんどでしょう。その準備に最低でも10年はかかると私自身は考えております。ですので、50歳以降の年金定期便で「見込額」やその内容をご確認のうえ、あとどのくらい準備しなければいけないかをある程度把握して老後準備を検討するようにしましょう!!