奨学金の返済がピンチ!!どうしたらいいの?

 実質賃金がなかなか伸びない中、大学の学費は年々上昇しております。大学生の約半数が何らかの奨学金を利用している状況ですので、卒業後に返済がピンチになることもあるかもしれません。今回は奨学金の返済がピンチになった時の対処方法などをお話したいと思います。

奨学金の借入額や返済額の平均はどれくらい?

 労働者福祉中央協議会が行った「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」(2019年3月)によりますと、
奨学金の借入総額は平均324.3万円(500万円以上が12.4%)毎月の返済額の平均は1万6,880円(返済期間の平均14.7年)でした。

 返済の負担について、正規労働者の約4割が「苦しい」、非正規労働者で6割弱が「苦しい」と回答しているようです。毎月の返済額の平均が1万6,880円といえど、思った以上に負担感が大きいようです。
 さらに、奨学金返済をしているもの同士のご夫婦であれば、この倍にもなり得ますのでやはり軽くみてはいけないでしょう。

 実際に「奨学金の返済を延滞したことがあるか」を聞いたところ、15.7%の人が「ある・あった」と回答しています。延滞した理由は「単に返済を忘れていた」53.9%が1位ですが、残りの半数近くが苦しい状況にある又はあったと予測されます。

奨学金返済がピンチになったときには?

 まず、奨学金返済がピンチになったときに一番に考えるのが、ピンチ度の度合いです。
どの程度の期間がピンチになりそうなのか、全く返済が無理なのか、一部でも返済出来そうなのかなど、そのピンチ度の度合いを見極めましょう。

 そのうえで、次の二つの方法を検討しましょう。

  ① 減額返還
  ② 返還期限猶予

 ①の減額返還は、毎月の返済額を減額して返済することです。
たとえば、毎月1万6,880円を返済していたものを、毎月1万円にするなどということです。減額した分はもちろん、返済期間が延びます。比較的ピンチ度が軽いときに有効な方法です。

 減額返還をするには、減額返還を開始する月の2カ月前までに申請しなければなりません。1回の申請における適用期間は12カ月間、最長15年(180カ月)まで延長することができます。

 ②の返還期限猶予は、一定期間返済期限を延長できる制度です。
申請して承認された期間は返済の必要がなくなり、返済が再開されると猶予された期間に応じて返済終了年月が延期されます。適用期間は通算10年(120カ月)が限度です。
返還期限猶予は減額返還よりもピンチ度がより高い場合に有効な方法です。

 注) 利用している制度や事由によっては、上限がないものやさらに延長できる場合があります。

どちらの方法も返済総額が減るわけではない。

 ご注意いただきたいのは、上記どちらの方法にせよ、返済総額が減るわけではないということ。あくまでもピンチの時期を乗り越えるための方法だということです。

 ただ、返還期限猶予につきましては、猶予期間中の利息や延滞金は免除されます。又、延滞後の申請も認められており、認められればそれまでの延滞金も免除されます。 

自分だけが返済を逃れるための自己破産は、よくよく考えて・・・。

 本当になんともならないとなったら、自己破産という選択肢はあります。自己破産すれば、あなたの返済義務は無くなります。しかし、安易に自己破産を行うことは容認出来ません。

 何故なら奨学金を借りる時には必ず保証人が必要ですが、機関保証(その機関に保証料を支払うことで保証人の代わりをしてくれる制度のこと)でなければ、親や身内が連帯保証人や保証人になっているはずです。

 自己破産をして自分だけは奨学金の返済から逃れられたかもしれませんが、その返済義務は連帯保証人や保証人に移るのです。親や身内に自分の学費のことで迷惑をかけるだけでも問題ですが、自己破産の連鎖まで起きたら目も当てられません。

 自己破産を選ばざる負えない状況というのも無い訳ではありませんが、こういった周囲のことや先々のことまで踏まえて判断するようにしてください。