生命保険での指定代理請求制度・家族登録制度とは?

 生命保険での保険金・給付金の請求権は、保険金(給付金)受取人からの請求が無ければ原則、効力は発生しません。つまり、各保険会社は保険金や給付金の支払いについて、自発的に未請求事案を探索してまでおこなう法律上の義務はないのです。
 しかし、過去の調査等で未請求事案の多発が問題視されて以来、業界ではさまざまな防止策に取り組んでおります。今回はそんな防止策としてはじまった制度を改めてご紹介したいと思います。

指定代理請求制度とは?

 保険金や給付金の請求を被保険者本人が行わなくてはならない保険は少なくありません。しかしながら、その被保険者が必ずしも、保険金や給付金の請求をできる状態であるとは限りません。

 例えば、事故でケガをされて意識不明であったり、ガンについて不告知であったり、認知症が発症してしまっていたりなどです。

 これでは、いざという時に必要な保障(補償)をという保険本来の役割が果たせなくなってしまいます。そこで、出来た制度がこの指定代理請求制度です。

 指定代理請求制度とは、保険金(給付金)受取人である被保険者自身が、保険金等を請求する意思表示ができない特別な事情がある場合に、予め契約者が指定した代理人が請求できる制度のことです。契約上は、指定代理請求特約を付加します。(特約保険料は無料)

 指定代理請求人として指定できる人の範囲は保険会社によって異なりますが、

  1. 被保険者の戸籍上の配偶者
  2. 被保険者の3親等内の親族

などの約款で定められた範囲内の人になります。保険会社によっては、
  3. 契約者の療養看護に努め、または契約者の財産管理を行っている人を指定できることもあります。

家族登録制度とは?

 そもそも、保険金(給付金)の請求をしようと思っても、どこの保険会社のどういった保険商品に加入しており、どういう保障内容かがわからなければ請求のしようがありません。

 仮に郵便物等から保険会社が判明して問い合わせたとしても、保険会社は原則、家族であっても契約者以外に契約内容に関する情報を教えてはくれません。(個人情報保護の観点から)

 これでは、家族はどうしようもなくなってしまいますので出来た制度がこの家族登録制度です。
契約者が事前に登録した家族であれば、契約内容の確認が必要なときには問い合わせに答えてもらえます。また、保険会社から送られてくる各種手続きの案内が引っ越しなどで契約者に届かなかった場合、大規模災害などで契約者と連絡が困難な場合などには保険会社から登録された家族に連絡してもらえます。

 登録できる家族の範囲は保険会社によって異なりますが、上記の指定代理請求制度とほとんど同じです。

指定代理請求制度と家族登録制度は役割が違う

 たまに、上記二つの制度を混同されてみえる方がおみえになりますが、二つの制度は役割が違います

 指定代理請求制度は、保険金(給付金)受取人の代理となれる制度ですので、保険金(給付金)受取人の権限の範囲でしか権利行使は出来ません。

 対して、家族登録制度は保険契約者の代理といった意味合いになりますので、こちらは保険契約者の権限の範囲内での権利行使となります。

 具体的には、契約者は契約に関する権利全般について、受取人は請求に関する権利についてということです。

 保険契約では、契約者・被保険者・受取人という三者の立場がありますが、その権限は明確に分けられておりますので、混同なされないようにして下さい。

まとめ

 家族であっても、なかなか個々人の生命保険加入状況まで把握されてるケースは少ないのではないでしょうか。
2022年からいよいよ、団塊の世代が後期高齢者に突入しますし、2025年には65歳以上の高齢者の5人1人が認知症になるとも予測されています。(軽度認知障害(MCI)も含めれば、もっと多くなります)

 ますます、保険金や給付金の未請求が増える状況に見舞われますので、今のうちに指定代理請求制度・家族登録制度の活用を検討してみてください。(これらの制度は基本任意の制度ですが、契約時から必須条件の場合もあり)

 検討といいましたが、二つの制度ともこれからは必須といってもいいでしょう。

 最後に、家族登録制度では登録の際に登録する家族の同意が必要になりますので、登録された家族もちゃんと認識できますが、指定代理請求制度では指定した家族に話をしておかないと認識できませんので、ご注意ください!!