『遺産分割協議書』ってどんな時に必要なの!?
つい最近、身内が亡くなったことで初めて自分で遺産分割協議書を作成しました。改めていろんなときに必要になることが分かりましたので、シェアしてみたいと思い記事にさせて頂きました。ぜひ、参考にしてみてください。
そもそも『遺産分割協議書』とは?
遺言書などが無い場合、遺産分割は相続人全員で話し合いをおこなって分割方法や割合を決めることになります。この話し合いのことを遺産分割協議といって、遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類を『遺産分割協議書』と言います。(厳密には、遺言があっても相続人全員の同意があれば遺産分割協議をおこなって遺産を分けることも出来ます)
似たようなものに「遺産分割協議証明書」というものもあります。どちらも遺産分割協議の内容を証明する書類で目的も中身も似ていますがその違いは、署名押印する人です。
遺産分割協議書の場合、「相続人全員」が署名押印する必要があります。全員が署名押印することによって「全員が合意した事実」を証明するためです。1人でも署名押印が欠けていたら遺産分割協議書は無効になります。
一方で遺産分割協議証明書の場合、署名押印する相続人は1人です。遺産分割協議証明書によって証明できるのは「署名押印した1人の認識」のみだからです。
さらに、遺産分割協議書と遺産分割協議証明書では内容が異なるケースがあります。
それは、遺産分割協議書は成立した遺産分割協議の内容をすべて盛り込まなければなりませんが、遺産分割協議証明書は署名押印する相続人が相続する財産についてのみの記入でも構わない(すべて盛り込んでもOK)からです。
どんな時に『遺産分割協議書』が必要なのか?
遺産分割協議書が必要なのは下記の場合などです。
① 金融機関での預貯金口座の解約
② 証券会社での株や投資信託の相続手続き
③ 相続登記(法務局での不動産の名義変更)
④ 税務署への相続税申告
⑤ 自動車の名義変更手続き
①について、金融機関所定の「相続届」に相続人全員の署名と実印での押印があれば、遺産分割協議書がなくても手続きを進めてもらうことも可能ですので必須ではありませんが、作成したのであれば提出を求められます。
②についても①と同様です。
③について、遺産分割協議書の原本もしくは、原本を提示したうえで複写したものに原本と相違ない旨の文言及び記名押印又は署名したものでも可。原本の場合は還付請求が出来ます。
④について、作成していれば提出を求められますが、必須ではありません。
ただし、遺産分割を成立させないまま相続税の申告をした場合、申告時に「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」などの適用を受けることができません。
将来的に遺産分割の予定がある場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておきましょう。そうすれば後日遺産分割が成立したときに修正申告をして上記の適用を受けることができます。
⑤について、陸運局や運輸支局に遺産分割協議書を提出しなければなりません。(還付請求可)ただし、相続する自動車の価格が100万円以下であることを証明できる資料の写しなどを添付した場合には、遺産分割協議書に代えて遺産分割協議成立申立書を使用できることがあります。
『遺産分割協議書』が不要なケースとは?
下記の場合は、遺産分割協議書が不要になります。
① 相続人が1人
② 他の相続人が全員相続放棄
③ 遺言書により相続内容が示されている場合
④ 法定相続分で共有登記する場合
②について、代わりに他の相続人の相続放棄受理証明書が必要。証明書は家庭裁判所で発行してもらえます。
③について、代わりに遺言書の提出が必要。自筆証書遺言の場合は事前に家庭裁判所での検認をしてもらい、検認済証明書を発行してもらいましょう。なお、法務局での遺言書保管制度を利用している場合、検認は不要。
『遺産分割協議書』作成での注意点は?
『遺産分割協議書』を作成するうえでの注意点としましては、基本的に原本の提出が求められますので相続人の人数分の原本を作成して1通ずつ所持するようにしましょう。そうすることで、後々のトラブルも防止できます。
また、原本を提出する際には、忘れずに原本還付申請をするようにして下さい。
最後に、『遺産分割協議書』を作成することは素人でも可能ですし問題もありません。必ずしも専門家に頼む必要はありませんが、相続人間で信頼関係が築けていない場合や内容的に複雑な場合などはやはり、専門家に依頼するほうがベストでしょう。