年金受給世帯の「211万円の壁」とは!?

 「〇〇の壁」と言われるものは、多々あります。最近では10月からの社会保険加入に関する「106万円の壁」というものが取り上げられたりしておりますが、今回は年金受給世帯における「211万円の壁」についてお話したいと思います。

 

年金受給世帯が住民税非課税世帯となるかのひとつの壁のこと

 年金受給世帯の「211万円の壁」とは、65歳以上の夫婦二人の年金収入のみで生活している世帯が、住民税非課税世帯になるかどうかの年金収入額の境界のことです。

 年金受給世帯の主たる生計者(世帯主)の年金収入が211万円以下に収まれば住民税非課税世帯となる可能性があります。敢えて「可能性」とさせて頂いたのは、この判定において世帯主だけの収入ではなく、世帯に含まれる全員が住民税非課税となる収入以下でなければならないからです。判定については、下図を参考にしてみてください。

世帯主と被扶養者一人の場合の世帯主年金収入
扶養されている方の年金収入

 年金だけで生活している65歳以上の夫婦の場合で、1級地の場合上図より、211万円+155万円=366万円以下に世帯収入が収まっていれば、住民税非課税世帯になるということです。

 

年金収入211万円とは、全員に当てはまるわけではない

 上図をみてピンときた方もみえるかと思いますが、「年金収入の211万円」というのは、全員に当てはまるわけではありません。住まわれている自治体や世帯の人数により違ってくるわけです。

 自治体だけでも1級地~3級地まであり、211万円、203万円、193万円と違ってくるわけです。

 どこの自治体が何級地かは下記をご参照ください。

 〇 厚労省HP内 級地区分表(H30.4.1)PDF
   https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/kyuchi30.pdf

 
 ※ 今回は年金収入のみと想定してお話しておりますが、年金収入以外の収入がある場合は「住民税非課税限度額 注)」に基づいて判定を行ってください。

 注)住民税非課税限度額とは、住民税が非課税となる合計所得額、または総所得額等の上限額のこと

 

住民税非課税世帯となる場合のメリットとは?

 では、上述の内容より住民税非課税世帯となった場合、どんなメリットがあるのでしょうか?

おもなメリットは下記になります。

 ① 住民税がかからない
 ② 国民健康保険料が安くなる
 ③ 介護保険料が安くなる
 ④ 高額介護サービス費が安くなる
 ⑤ 高額療養費制度の限度額が下がる
 ⑥ 後期高齢者(75歳以上)の医療費が安くなる

又自治体によっては、

 ・NHKの受信料が無料になる
 ・予防接種が無料になる
 ・介護施設入居者の住居費・食費を軽減してくれる
 ・シルバーパスが割安になる

さらに下記のようなメリットがあることも。

 ・「年金生活者支援給付金」が支給される
 ・「臨時特別給付金」が支給される     など。 

 

 今回は年金受給世帯の「ひとつの壁」についてお話させて頂きましたが、メリットばかりではない場合があり得ます。繰上げ受給や繰下げ受給してまで行なっていいものかやデメリットは自分の条件や状況ではないのかなど全体を踏まえて検討するようにしてください。