【後期高齢者】医療費自己負担割合が2割になる基準とは!?
令和3年6月4日に、後期高齢者のうちで一定の所得がある人の医療費自己負担割当が1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法案が成立しました。今回はその基準等をお話したいと思います。
現在の医療費自己負担割合をみてみましょう!
まずは、現在の制度の確認からしていきましょう。現在、医療費自己負担割合は下記のように1割負担~3割負担となっています。
その中の後期高齢者の医療費自己負担割合は1割負担と3割負担です。1割負担になるか3割負担になるかは、その年度の市民税課税標準額によって判定されます。同一住民票の後期高齢者医療被保険者全員の課税標準額が145万円未満の人は1割。145万円以上の被保険者およびその被保険者と同一住民票の被保険者は3割となります。
※ 後期高齢者とは、75歳以上の高齢者もしくは、65歳上の寝たきり等の障害者のこと
ただし、3割負担と判定された方のうち、下記の条件を満たす人は1割負担となります。
1.同一住民票に被保険者が1人の場合 年間収入383万円未満
(383万円以上であっても同一住民票の70~74歳の方を含めた収入の合計額が520万円未満)
2.同一住民票に被保険者が2人以上いる場合は 年間収入520万円未満
3.昭和20年1月2日以降に生まれた被保険者で、本人および同一住民票の被保険者の旧ただし書き所得の合計額が210万円以下
今回の改正を受けて医療費自己負担割合が2割になる基準は?
今回の改正を受けて医療費自己負担割合が2割になる後期高齢者は、
後期高齢者が世帯で1人の場合、年収200万円以上かつ課税所得28万円以上に該当する場合です。
年収は年金収入だけでなく、他の所得金額も合計した金額となるので、年金以外の収入源をお持ちの方は注意が必要です。
課税所得とは、基礎控除額や社会保険料控除を差し引いた後の金額のこと。
年収200万円を超えている人でも、扶養親族など所得控除額が多く、課税所得28万円未満となる場合、医療費自己負担割合は1割のままということです。
後期高齢者が世帯で複数人いる場合、年収は世帯の後期高齢者の年収を合計して算出します。他方、課税所得の判定は世帯合計ではなく、世帯の中で課税所得が最大の人の金額で判断します。
世帯年収320万円以上かつ、世帯内の後期高齢者のうち課税所得が最も多い人の課税所得が28万円以上に該当する場合、医療費自己負担は2割となります。
後期高齢者の医療費自己負担割合が2割となる所得基準の考え方については下図を参照のこと。
単身世帯:年収383万円以上、複数世帯:年収520万円以上は医療費自己負担割合は3割
これは現行制度の事ではありますが、単体世帯だと年収383万円以上、世帯に複数人の後期高齢者がいる場合には合計年収520万円以上になると、3割負担になる可能性があります。
要するに、今回の改正が施行されれば、後期高齢者の医療費自己負担割合が1割、2割、3割と3区分になるということです。
施行日につきましては、施行に要する準備期間等を考慮して、令和4年度後半(令和4年10月から令和5年3月までの各月の初日定)を想定で政令で定める(次期通常国会に必要な法案の提出を図る)となっています。
緩和措置が施行後から3年間講じられます!!
今回の改正にあたりましては、次のような緩和措置も考慮されております。
長期頻回受診患者等への配慮措置として、2割負担への変更により影響が大きい外来患者について、施行後3年間、1月分の負担増を、最大でも3,000円に収まるような措置を導入する予定です。
この緩和措置により、
窓口負担の年間平均が約8.3万円 ⇒ 約10.9万円(+2.6万円)
(配慮措置前は約11.7万円で+3.4万円)
の負担増になる模様です。
今回の改正を受けて医療費自己負担割合が2割となられる方は、このくらいの負担が増える心づもりをしておいてください!!