新型コロナ関連費用と医療費控除について
今年は皆様、新型コロナ感染予防等のためにマスクや消毒液を購入したり、場合によっては感染確認のために検査等を受けられた方もおみえになることでしょう。
今回は皆様がご負担された新型コロナ関連費用と医療費控除についてお話したいと思います。
まずは医療費控除とは?
医療費控除とは、1年間に多くの医療費を支払った場合に、所得税が安くなる所得控除という制度の一つです。
1年間に多くの医療費を支払った場合というのは、次の計算式で結果がプラスとなった場合です。
実際に支払った医療費の合計額 ― (1)の金額 ― (2)の金額
(1)保険金などで補てんされる金額
(2)10万円もしくは、その年の総所得金額等が200万円未満の方は総所得金額等の5%の金額
上記の計算の結果がプラスとなった分(最高で200万円)だけ所得控除が受けられます。
勘違いしないで頂きたいのが、税額控除ではなく所得控除ですので、上記の計算分の所得税が安くなるのではなく、上記の計算結果に税率等がかけられた分だけが安くなるということです。
医療費控除の対象となる医療費とは?
医療費控除の対象となる医療費は、所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項で
・ 医師等による診療や治療のために支払った費用
・ 治療や療養に必要な医薬品の購入費用
などとされています。
要するに、治療のためにかかった費用が対象で予防や健康維持のための費用は対象外ということ。
そのうえで、下記要件①②を共に満たした場合が対象となります。
① 納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費で
あること。
② その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。
(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります)
新型コロナ関連費用でみてみましょう
上記を踏まえますと、
・ マスクや消毒液等は感染予防が目的のため対象外。
・ PCR検査などの検査費用については下記のように状況により判断が分かれます。
① 医師等の判断により受けたPCR検査の検査費用は医療費控除の対象。
(ただし、医療費控除の対象となる金額は、自己負担部分に限ります。公費負担により
行われる部分の金額については、医療費控除の対象とはなりません)
② 自己の判断により受けたPCR検査の検査費用は医療費控除の対象外。
(ただし、PCR検査の結果、「陽性」であることが判明し引き続き治療を行った場合
には、その検査は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができますので、
その場合の検査費用については医療費控除の対象となります)
オンライン診療に係る諸費用の医療費控除について
新型コロナウイルス感染防止のために医療機関によっては、オンライン診療を導入しているところもあるかと思います。オンライン診療に係る諸費用についてもみてみましょう。
オンライン診療料に係る諸費用には、下記のような費用が挙げられます。
1. オンライン診療料
2. オンラインシステム利用料
3. 処方された医薬品の購入費用
4. 処方された医薬品の配送料
それぞれ見ていきましょう。
1. につきましては、医師等による診療や治療のために支払った費用については、医療費控除の対象
となります。
2. につきましては、オンライン診療に直接必要な費用に該当しますので、医療費控除の対象
となります。
3. につきましては、治療や療養に必要な医薬品の購入費用に該当する場合は、医療費控除の対象
となります。
4. につきましては、治療又は療養に必要な医薬品の購入費用に該当しないので医療費控除の対象外
となります。
新型コロナ禍の中で特別措置等がさまざま設けられておりますが、医療費控除におきましては改正や特別措置は特段設けられていないようです。参考にしてみてください!!