同一生計の親族分でも自分の所得控除の対象と出来るものは!?
いよいよ、確定申告がスタートしました。今回はコロナ禍による期限の延長は原則ありませんのでお間違えの無いようにしてください。今回はわかりにくい同一生計と同一生計親族分でも自分の所得控除にできる控除をお話したいと思います。
税務上の同一生計(生計を一(いつ)にする)とは?
税務上におきまして、「同一生計」とか「生計を一(いつ)にする」という文言がよく使われております。これに該当するかどうかで税額が大きく変動しますので非常に気になる事柄ですが、その判断基準がわかりにくいのが実情でしょう。
まずは、これについてお話させて頂きます。国税通則法の基本通達では、下記のように記されております。
(国税通則法基本通達46条関係)
この条第2項第2号の「生計を一にする」とは、納税者と有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいい、納税者がその親族と起居を共にしていない場合においても、常に生活費、学資金、療養費等を支出して扶養している場合が含まれる。
なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。
つまりは、同居している場合は、原則、同一生計となり、例外として明らかに独立した生活を営んでいるときは別生計となる。同居していない場合でも、常に生活費、学資金、療養費等を支出して扶養している場合は同一生計ということです。
〈生計同一例〉・ 単身赴任者にとっての自宅に残した親族
・ 仕送りをしている学生
・ 医療費等を援助している別居の親
・ 施設に預けて介護療養費などを負担している親 など。
同一生計親族分でも御自分の所得控除の対象になる控除とは?
所得税においては、下記の控除が対象になります。
・ 配偶者控除(配偶者特別控除)
・ 扶養控除
・ 社会保険料控除
・ 医療費控除
・ 生命保険料控除・地震保険料控除
・ 雑損控除
・ 寡婦控除
これらの控除であれば、同一生計親族分を御自身が支払えば、御自分の所得控除として確定申告(年末調整)することができます。
ですので、親が学生などの子供の国民年金や国民健康保険料などを負担したら、御自身の所得税が軽減されるという事です。
養育費を支払ってもらっている場合はどちらの生計扱いになるのか?
ひとり親等の家計相談をしている関係でたまにこんなご質問があります。では、この場合はどちらの生計とみなされるのでしょうか?
初めにお話しておきます。子供を養育している側と養育費を負担している側の両方で「同一生計」とすることは出来ません。又、同居している側での「同一生計」扱いは問題はありません。
注)16歳未満の子供は児童手当との兼ね合いで扶養控除の対象とはなりません。
(離婚後も同居している場合)
養育費を同居している子どもへ支払っている場合は、事実上同一生計とみなすことができるのでどちらの生計としても構いません。所得の多寡により有利なほうの生計とみなして扶養控除を申告すればいいでしょう。
(別居の場合)
別居の場合は、養育費の内容により扱いが分かれます。
その養育費が扶養義務としてでありかつ、一定の年齢までと限定して支払っている場合には「同一生計」として扶養控除の対象などに出来ます。ただし、養育費の額の明示が出来なければなりません。慰謝料又は財産分与の総額が養育費の支払を含むものとして養育費の額を明示できない場合は×となります。
※ 両者で「同一生計」と出来る場合に、どちらにしたらいいのかについての決まりはありません。有利なほうにして問題があれば、話し合いで決めるしかありません。