不動産査定書の「流通性比率」って何なの?その注意点は。
不動産査定書の「流通性比率」とは?
不動産を売却する際に不動産会社などが作ってくれる「不動産査定書」。ざっくり言えば、売却不動産に対してのその不動産会社の見立てを示したものです。ですから、その内容や説明は各社まちまちです。
その査定額がどのような根拠でその結果になったのかを知るために非常に重要な書類です。
その不動産査定書の中に「流通性比率」というものがあります。
流通性比率とは、その物件が売りやすいか、売りにくいかという流通性の度合いを示す比率のこと。
公益財団法人不動産流通推進センター「価格査定マニュアルによる戸建住宅の査定」によれば、1.00(100%)を基準に、0.85(マイナス15%)から1.1(プラス10%)の範囲内で示され、売りやすければプラス、売りにくければマイナスとして評価を行います。
例えば、0.95となっていれば本来の査定額から5%減額したという意味になります。
「流通性比率」は安易に査定価格の調整に使われやすい!?
この流通性比率の決め方は正直、査定者の感覚だけで決まるといっても過言ではありません。
何故なら多くの不動産会社では不動産査定書を作成する際に「査定システム」を使って作成しておりますが、その「査定システム」においてはこの流通性比率の初期設定値は「1.00」になっており、そのパラメーターは手動で変更されるだけだからです。
そのため、この流通性比率は安易に査定価格の調整に使われやすいのです。
どういうことかと申しますと、「査定システム」でその他のパラメーターを入力後に査定価格が算出されますが、その結果が査定者の思惑や感覚とズレた場合に、この流通性比率のパラメーターを使って安易に調整するわけです。
本来であれば、その他のパラメーターを再度調査し直して精度を高めていくものなのですが、その手間や時間を惜しんで安易な不動産査定書を作成してしまっているのです。
「流通性比率」が「1.00」でない場合は必ずその根拠の確認を
誤解のないようにお話しておきますが、流通性比率が「1.00」でないからといって、その不動産査定書がいいかげんなものとは限りません。
あくまで、流通性比率は恣意的に操作できてしまう数値であるということを理解していただいたうえで、流通性比率が「1.00」でない不動産査定書をみられた場合はその根拠を確認していただきたいのです。
もし、その根拠が曖昧であったり、説明が出来ない場合はその担当者の能力不足や不誠実さがわかりますし、さらにその査定書をチェックもせずに提出させた不動産会社の体制にも信頼性は感じられないでしょう。
要は、担当者や不動産会社を見極める判断材料にしていただきたいのです。不動産取引において業者と顧客との知識や経験ギャップは大きく、下手をするとカモにされやすい為そうならないように注意しましょう。
最後に、その他不動産査定書から読み取れるその担当者や不動産会社の信頼性を図るものとしては、
・ 不動産査定書の内容がわかりやすいかどうか
(不動産査定書のデザインセンスからも信頼性などを図れる場合も)
・ 査定価格の表記において価格幅を持たせすぎてないかどうか
・ 物件に対するコメントなどが一般的過ぎないかどうか
(個別具体的であればあるほど、その物件調査の信頼性が高い)
・ 不動産査定書の分量はほどほどかどうか
(最低でも10ページ以上、多すぎても良くない)
など。ご参考まで!!