住宅ローン金利動向予測(経済・物価情勢の展望レポート最新版より)

 コロナの先行きが見通せない中、住宅ローン金利がどうなるか予測するのはかなり困難ですが、今回は日銀から発表された最新の経済・物価情勢の展望レポートよりお話したいと思います。

日銀の金融緩和政策中はそんなに警戒することはない

 現在、住宅ローンはほんの少しの上げ下げはあるものの、そんなに動いていないというのが実態です。では、何故あまり動きがないのかといいますと、それは日銀の金融政策の方針が変わる気配がないからです。

 日銀は当初の黒田総裁就任時2013年春からずっと異次元金融緩和をし続けております。微妙な調整はあるもののその主旨は下記の通りで、先日の経済・物価情勢の展望レポートのなかに記されております。

(経済・物価情勢の展望 2021 年 4 月より)

 要は、「物価が安定的に2%程度になるまで金融緩和は続けます」と宣言しているのです。

物価予測はどうなっているのでしょうか

 では、その物価予測はどうなっているのでしょうか。下記をご覧ください。

(経済・物価情勢の展望 2021 年 4 月より)

 上記の見通しも同レポート内に示されているものですが、2023年度でもやっとのこと、+1.0予測です。2020年度は実績値で-0.4とこれだけ異次元金融緩和を続けてきてのこの数値です。
(この数値は税込みですので、過去に跳ね上がっているのは消費税の影響です)

 さらにお話しますと、この予測は時期が近づくにつれて、下方修正されまくっているのがこれまでの実績です。ですので、2022、23年度の数値もあと1年程度したら、下方修正されるかもしれません。

 日銀のこの予測から読み取れるのは、少なくとも2023年度末でも金融政策方針の変更は出来ないわけですから、そんなに金利動向が激しく動くということはないでしょう。

金利動向は長期金利から動き出します

 金利の動きというものは、常識的には長期金利から先に動き出します何故なら、先行きの予想に基づいて動いている投資家(特に、機関投資家など)の投資行動の影響を強く受けるからです。さらに長期金利は、短期金利よりも変動が大きいという特徴も挙げられます。

 住宅ローンの短期金利(期間10年未満)の指標は短期プライムレート長期金利(期間10年以上)の指標は10年物国債利回りですが、ここでは先に動き出す長期金利動向をみてみましょう。

 直近では2021年2月に急上昇しましたが、現在では0.1%程度に落ち着いております。長期金利操作においては、2021年3月に日銀が「長期金利の上昇を容認した」ということで-0.25%~+0.25%の範囲に収める方向性を打ち出しました。(当初は、-0.1%~+0.1%の範囲)
今となってはそれもあまり意味をなしていない状況で、今後も現状付近以下を動きそうな雰囲気になってきております。

コストプッシュインフレ等には少し警戒を

 ご覧の通り、今のところ住宅ローン金利が大きく動きそうな気配は感じられないのですが、今後気になる点は2点あります。それは、コストプッシュインフレ住宅ローン控除率の見直し動向です。

 コストプッシュインフレとは、その名の通り、様々なコストが上がって物価が上がっていくことです。コロナの影響で輸入物価が上がったり、人手不足で人件費が上がったりしています。今後コロナがどうなっていくかはまだ読めませんが、この悪い物価上昇であるコストプッシュインフレには少し警戒したほうがいいかもしれません。

 あと、住宅ローン控除率の見直しが金利動向にどう影響するかです。すでに議論にはあがっていることですので、近いうちに住宅ローン控除率は下げられるでしょう。(現在概ね、逆転現象となっており利ざやで得している状況)その影響で住宅ローン金利の動向がどうなるかです。金融機関が少し金利を上げてくる(優遇金利幅を小さくする)可能性が考えられます。

 この2点には少し注意を払っておいたほうがいいと考えます。
 将来的な金利動向予測は本当に難しいものです。それこそ、こんな100年に一度あるかどうかのパンデミックが起こる事を2年前に誰が予測できたでしょうか。さまざまな要因で金利は動きますので、新たな事象が起こった時には動向には注目してみてくださいね!!