住宅ローン控除の期間が終了したら、繰上返済は早くしたほうがいいの!?
逆ざやが指摘されるほどお得になっている住宅ローン控除。今回はその控除期間が終了したら、なるべく早く繰上返済すべきかどうかについてお話したいと思います。
控除期間が終了したら、どうすべきか?
最初に結論から申し上げますと、控除期間が終了したら繰上返済を早めにすべきかどうかは、保有資産、年収、家族構成、借入金額、借入金利などの諸要素がどういう状況下に置かれているかによって異なってくるというのが結論で、一概には言えないということです。また、投資リテラシーをどの程度お持ちかによっても判断は分かれるものと考えます。
具体的にお話しますと、緊急予備資金(生活費の半年~1年分程)も手元に残らないような状況で繰上返済すべきではないですし、これから数年以内に多額の教育資金が必要で奨学金を借りる可能性がある場合などにすべきではないということです。
借入金利について言えば、控除期間が終了するような状況の方は変動金利で0.7~0.9%程度、固定金利で1.0~1.5%程度の範囲内の方と思われます。残年数が20年以上残っており残債が1,000万円以上で、金利差が0.5%程度以上縮小するのであれば借換えを検討されたほうがいいと考えますが、それ以外の方は手元資金に余裕がある方で数年以内に借入見込みがない場合を除き、無理に繰上返済をすることもないように考えます。
住宅ローンの金利は他の借入金利と比較して超低金利である
住宅ローンの金利というものは超長期であることや政策的な意図があることで超低金利なのです。キャッシングの金利はもちろんのこと、マイカーローンや教育ローンと比べても1/3~1/2程度でしょう。住宅ローンの繰上返済を優先した結果、マイカーローンや教育ローンを借りる結果になっては本末転倒です。
また、住宅ローンには団体信用生命保険という保険が組み込まれており、基本の保険料は借入金利に含まれています。死亡・高度障害時の保険も兼ねていることを考えれば、金利負担はそれほどないともいえます。ただし、住宅ローンを組んだ際に生命保険の見直しをせずに、過剰に民間生保に加入したままになっている方はこの限りではありません。
資産運用に回すという選択肢も
上述で投資リテラシーについて少し触れましたが、どういうことかお話しましょう。インデックス運用をベースとした分散投資例としてGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用実績をみてみますと、2001年度から2020年度までの20年間で平均利回りは年3.87%となっています。つまりは、投資リテラシーがあればインデックス運用で平均利回り約4%弱は可能であるとも考えられます。
そういう運用が見込めるのであれば、繰上返済に回す資金を資産運用に回せば金利差約2~3%程度は毎年利ざやが稼げる計算になります。投資リテラシーがある方にしてみれば、確実とまでは言えないにしても見込める可能性がそこそこあると思えれば繰上返済は非効率でしょう。十分に優先度の高い選択肢となるということです。
最後に、繰上返済を早めにしたほうがいいかどうかの判断は一概には言えませんので、ご自身の家計状況把握や将来見通しなどから複数の選択肢を検討して手元資金をどのようにするのが一番、経済合理性が高いかを判断することが重要であるということをご理解ください。